求められる管理体制

■適正な就業条件の確保(コンプライアンス)

派遣スタッフへの業務命令の有効性

さて、仕事の指示に従わないスタッフがいるとします。この場合、業務命令違反としてこのスタッフに懲戒処分を下すことができるでしょうか?

業務命令違反は指導・懲戒対象となるのが大原則です。しかしそれは業務命令が「適正」な場合に限られます。「適正」でない業務命令、例えば、雇用契約として明示していた業務以外への就業命令を拒否したとしても、それは正当な行為といえます(特に派遣の場合)。

基本は、就業条件が「適正」であること

業務内容や、賃金・年次有給休暇などの待遇面、社会保険・雇用保険の加入など、適正な就業条件の確保こそが労務管理の基本です。この部分ができていなければ、いくら立派な規則を作ってスタッフを教育しても労務問題は当然の結果として頻発します。

■派遣スタッフ用就業規則

就業規則作成は法令上かつ実務上必須

労働基準法89条では、常時使用労働者が10人以上の場合には就業規則を作成し労働基準監督署に届出なければならないことになっています。もし人材派遣会社において、就業規則はあるけれども一般社員を対象としたものしかないというのであれば、それは労基法違反になるか、もしくはその就業規則を派遣スタッフにも適用させなければなりません(その就業規則に定期昇給・賞与・退職金の定めがあるとすれば派遣スタッフにも適用になるというリスクがあります)。

こうした法違反云々の観点のみならず、そもそも就業規則というルールがなければ労務管理の裏付けとなる規範が無いという事態に陥ります。派遣先で起こり得るスタッフの問題行動を想定した服務規律・懲戒規定が無ければ派遣スタッフの労務管理は大変困難です。

派遣スタッフ用就業規則に求められる役割

就業規則では大きく分けて「規律」に関する定めと「労働条件」に関する定めがあります。一般の会社では就業規則に「労働条件」を定め、画一的・統一的に労務管理を行うことが重要となります。しかし派遣スタッフの場合はそれぞれに就業時間や休日等の条件が異なるため、就業規則で「労働条件」を画一的・統一的に定めることは不可能です。そのため、派遣スタッフ用就業規則では「規律」に関する定めの方が中心となり、いわゆる「べからず集」を作成する必要があります。

一般的な会社では、長年の労使慣行がルールとなり就業規則と同じような効力を持ちますが、臨時的・一時的雇用が前提である派遣にはそのようなものがありません。そのため、派遣だからこそ就業規則において具体的かつ詳細なルールを定めておく必要性があるといえます。

■スタッフ教育

目指すは未然防止

労務問題は未然に防ぐことが何より大切です。そのためには就業規則などのルールを積極的に周知し、派遣スタッフへ教育・啓蒙活動を行うことが重要です。

ここで問題となるのが、教育のための場所と時間と費用です。各派遣先に赴いてOJTを行うには大変な時間と労力を要します。また、Off-JTとして集中的に研修を行うにも場所と費用の問題があります。

有効な方法として、「ハンドブック」的なものを作成し配布したり、ネットの活用などの方法が考えられます。

■外部協力体制

日頃の備えが重要

当然のことながら、労務問題発生時は派遣先との連携は欠かせません。

また、必要に応じて外部機関に協力を求めるケースもありえます。労務問題ならば社会保険労務士や弁護士、健康問題やメンタルヘルスのことであれば産業医やEAP機関など、問題が発生してからではなく、日頃から専門の外部機関との関係を構築しておくべきです。

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